外部記憶装置

増田貴久くんについていろいろ考えたり思ったり忘れたくなかったりすることを書いておくとこです。

ハウ・トゥー・サクシード 9月18日

お誘いいただいてはじめてFC席で見せていただきました。

これで実は4回めのハウトゥとなりました。こんなに見せていただけると思っていなかったので嬉しい。18日とタイトルにしましたが2回めの感想ということで…18日というより全体の場面場面を忘れないよう思い出して書きます。ので長いです。自分の備忘なんで。すみません。これでも割愛してます…。

いま一番に思い出すのはカーテンコールで1人だけ舞台袖からではなく中央から半身後ろ向いた姿で現れ、めちゃくちゃに自身ありげに身体をこちらに向ける、増田貴久氏、です。

氏、って今はじめて付けたわ。そういう佇まいでした。

"すみません"みたいないつものちょっと控えめで恐縮したような風情は微塵もなく、ブロードウェイ・ミュージカル再演の主演、100人規模のカンパニーを引っ張る、成功したフィンチよろしく揺るぎない能力のある座長としてそこに立っておりました。佇まい、ポーズも表情も、その後に前へ出て歌って拍手して観客にお辞儀する姿も全部、意気揚々としていて、かっこいいなんて言葉じゃ言い表せなくて困っています。

私はすごい人を好きになったんだなぁ。

お話とシーンについて

舞台の最初。音楽がはじまり幕があがり、窓枠を模したセットの後ろに窓拭きブランコに乗って現れるフィンチ。あの窓枠にガラスを表す薄い布が貼ってあるの18日にはじめて気が付きました。17日には当日券で入ってるんですがこの時は枠にフィンチがかぶってほとんど見えませんでしたし13日は2階後方だったので。

窓拭きであるフィンチは「僕はできる!」と一念発起し大企業WWW社を観察、まんまと入社し郵便の部署で働いてるあたりまで、かわいらしい、うら若い青年です。

ブランコから降りてツナギを脱ぎスーツを着たフィンチが、一列になって礼をする社員達の一番端にしれっと連なってるのだけれど(隣はバドだったよね?)増田くんの身長がキャストの皆さんより低いので逆にとても目立ってキュート。小動物のようによく動いて、抜け目ない感じがよく出てました。あれ背が高かったらまた別の印象になったのじゃないかな。トゥインブルさんとフィンチのお歌のときも体格差が目立って、ベテラン社員ときゅるきゅる新人の差が出てて絵面がとても良い。

YouTubeでいままでのフィンチをいくつかチラ見したけれど増田くんのフィンチはやっぱり増田くん独特でとにかくかわいい。自分の特徴を生かして今回の作品のフィンチとなってると想像されます。とんでもなくかわいく人たらし、実は努力家で真面目、というおそらく彼の役の解釈がとても出て、したたかだけれど誠実に見えました。ほんとにかわいい。キケンなかわいさ。ローズマリーが一目惚れするのはわかる。 

コーヒーブレイクのシーン。フィンチはいないんだけど。当日券の見切れ4列目上手からはアンサンブルの皆さんのダンスの迫力とそれぞれの役柄独特のコケティッシュさが相まって見応えあって楽しかったな。最後にミスジョーンズがコーヒー入ったポット持ってスタスタ楽しそうに上手から来たかと思うとコーヒーよー!(だっけ?)と言って下手にきゃっきゃと去るのがほんと良い~。立ち居振る舞いがめちゃくちゃ美しく身体の芯が強くて只者ではない風情がとても良いミスジョーンズ。ミスジョーンズ好きでお洋服やアクセサリーやらお姿を詳細に双眼鏡で見てしまった。

エレベーターが出てくるシーンは、1階の前の方の端の席だとちょっと見えづらいです。ミスジョーンズのきれいなボーリングのポーズが見切れててそれはちょっとザンネンだった。やっぱり舞台は1階のセンター後ろ寄りがベストですね、多分ね。

フィンチが下手の階段のところでバッグに顔を隠しながら立ち聞き(?)するとこ、お顔がきれいで鼻筋が美しくて目がきらきらであれは一体なんなんですかね。そんなキラキラフィンチ、ローズマリーのモーションにはぜんぜんなびかず興味がなく、彼女をディナーに誘った方がいいんだろうけどどーしよっかな…っていうあの温度差ね。真ん中のスミティが一所懸命お膳立てして。まぁ夕飯は食べるしな、って誘って。あとでローズマリーに食事だけってどーなの?って責められる。ローズマリー強いなぁ…笑 それをスッとかわすフィンチのつれなさも最高。

フィンチは相手を気持ちよくする術をよく知っていて、相手を観察し相手が臨む言葉を繰り出すけれど、嘘かというと嘘ではない。誇張はある。言い換えはするが大きく嘘はついていない。嘘つきそうなシチュエーションでははぐらかす。そのはぐらかす様子がいちいちコミカルで面白い。ああいうコミカルさも増田くんが得意とするところ。

でもローズマリーにはあっさりしてるよね。彼女がぐいぐい来てるからほっといてもいいんだろね。興味なかったし(自分の心に気がついていなかったというやつだけど)。

社長とわざとぶつかって、人事部長に社長と知り合いかのように振る舞う。知り合ってはいないけど言葉を交わしたのは本当。 

口八丁手八丁でまるで同じ大学の後輩であるかのように思い込ませる。あのアナグマに入る直前のはぐらかし方、アメフトの試合を想ってパスを受け取って走り出すポーズのとことか、増田くんフィンチ表情も動きも超面白くてめちゃくちゃ笑う。

あのアメフトのとこ、あんまりああいう動きをする増田くんを見たことがないのでそういう意味でも新鮮でした。ハツラツとしてて全力たのしーシーン。あ、その直前の、夜中まで仕事してる演出で白目むいて寝てるああいうのもお得意っすよね。顔芸っていうか

そういえば私増田くんに落ちたての頃、表情がくるくる変わるからそこがよいって別ヲタの友達に力説してたわ

あ、そうだ、編み物のとこ、編み棒にちゃんとループ通してましたけど編めはしないんだろうなぁいやフィンチは編めるのか。あそこまで編んだのはフィンチか。増田くんはしらんけども。編み物もしちゃうところがフィンチの「努力」だよね。

パーティのシーンでしたっけ。チャールストンステップするところがあるでしょう。あれがとっても素敵で気が遠くなってました。軽くにこやかにステップ。その時はフィンチはメインじゃないので後ろの方で目立たないようにしてるんだけどさ、すでにその佇まいは窓拭きしてたフィンチとは違うんすよ~。

へディにキスしてって言われて、まぁいいかと軽くキスしちゃうところすごい好き。フィンチもともとモテてんだなーキスぐらいどうってことないんだなー。で、ところがそのキスでローズマリーへの恋心に気がつく。きれいな声で「ロー ズ マ リー」鐘のように「ローーーーズマリーーー」。その後ローズマリー登場してローズマリーが鐘に打たれたようになって(バ)カップル誕生。この時ずっとバドがソファの後ろで寝て隠れてるのニヤニヤする(笑)。

見どころだらけだけれど2幕のI Believe in You、洗面所シーンだけはそれまでと雰囲気が変わってとても好きな場面。フィンチを警戒する社員と、1人で決戦の場…1年で15人クビになるポストである宣伝部長に抜擢され最初に力を示せと言われたプレゼンに臨むにあたり鏡に向かって自分を鼓舞する。目の力、少し乱暴な動き、それまでかわいらしくキュートだったフィンチが男っぽくほんの少し荒々しさも見せるところ。誰も見ていない場所でのフィンチ。ひとしきり鼓舞し(=歌って)電動シェーバーを持って頬に当てる、その頬を2本?の指で伸ばしてうっすら口元に不敵な笑み…!  

で、発表は失敗に終わり窮地に。本には大失敗なら最初のページ、求人に応募するまで戻れとある。振り出しに戻る、だ。もう辞めるしかない。

憔悴してふらふらと歩き、それでも逃げず、自分を大きく見せてしまう癖も「だめだな」と修正し裁きの場に連行される、このくだりの手負いのフィンチ、疲れた男の風情がかっこいいんだわこれがまた。どんな職業であろうとあなたの味方だというローズマリーはただの玉の輿狙いのお嬢さんじゃない。

役員会議でまさかの会長と身の上が似てるという、最後のフィンチスマイルが見られる場面。やっぱりフィンチはしたたかで、社長以下役員社員ぜーんぶしれっと追い落とした挙げ句、全員を救って「世界は1つだ!」と突然の人類愛で大団円(笑)。

ここの"Brotherhood of Man"。めちゃくちゃに弾けて楽しそうに踊ってて、the増田貴久のダンス、で、きれいに伸びやかに歌ってて、もうね、こっちが嬉しくて泣くやつ。彼が素敵なパフォーマンスをしててすごい!っていうのと、彼がとても生き生きとして最高の場にいて嬉しい!っていうのと、その姿を見られてたまらん!ってのの感情がわーーーーーっと押し寄せる。

結局フィンチはフィンチらしくうまいことやって会長となり、ローズマリーはミセスフィンチの座におさまり、幕を閉じます。

 

初見時の感想にちょっと書きましたけども最初は面食らったんですよ。どのスタンスで見るのが正しいのかわからなくて。これを正しいとされるドン引きじゃないですか? 嘘とまではいかないけどまぁホラ吹いてるようなフィンチが、ろくに働いてないような社員ばかりの大企業でゴマすってのし上がっていく。コーヒーがないとやいやいし、女性社員は男性のサポート役としてしか認識されておらず「秘書はおもちゃじゃない」と嗜める上司が秘書(ヘディ)の色気にやられる。ヘディを使って色仕掛け(?)でフィンチを追い落とそうとする罠をヘディを使って跳ね返す。ローズマリーは上昇志向の彼と結婚し良い生活を夢見て彼をサポートするのよって歌う。そんな玉の輿狙いのローズマリーを私達の夢を実現せよと応援する秘書たち。コネ入社で賄賂と脅しを生業とするバド。会社には逆らわないと歌うトゥインブルさん。フィンチが自分たちの驚異となるとわかると敵と見る男性社員たち、保身の社長、役に立たない役員。元会長はなんとヘディと結婚し「長〜い」新婚旅行へ旅立たせる(のはフィンチ。こわ!w)

ぜーんぶ風刺。表現がコミカルってだけではなくそもそも設定ぜんぶが風刺なんだなーー。そう思って見た時の面白さが半端なくて、全部ツボにはいっちゃってめちゃくちゃ楽しくなってしまった。基礎知識って必要だな…。反省する。

 

増田くんについて

この作品アテ書きじゃないの?(1961年のものなのにね)って思うのはその「強かさ」(あえて漢字)と「人たらし」と「努力家」が完全に被るから。

このお仕事は1~2年前に来てたってことだけど。主催は東京グローブ座、当然事務所が主催なわけで、こういう興行はどういうふうに動いてオファーして決まるものなんですかね。1~2年前ってことはOnly youのすぐ後ぐらいでしょ。Only youはそもそもどうして持ってきた? 誰かが「近い将来増田にミュージカルやらせよう」って思って動いてるよね? しかも抜群に彼に合った場を準備して。

私はミュージカルに暗いからこの作品のことは全く知らなかったのだけども、事務所内かどこか関係者でミュージカルをよく知ってる人が増田=フィンチだ!って思ったわけでしょう? 演出のクリス氏がパンフで「ダンスが上手だとは聞いていたんですが」っておっしゃってるんですけども、どういうふうにクリス氏に増田くんを紹介したんだろう~~~~?

なんだか今後のことも考えてわくわくしません?

SODA Special Edition Entertainer

「スタッフの方々は、僕がこういうふうに歌うんじゃないかなとか、こういうふうに踊るんじゃないかなとか、想像してくれていると思うんですが、そこは本当に超えたいです。今までたくさん勉強をさせてもらってきたので、事務所だったり、周りの友達だったりに、いろんなものを見たり聞いたり経験させてもらってきて、今、この作品に出合えたことは運命だと思いますから、今のジャニーズ増田貴久がどこまでできるか、想像は超えたい。何が“超えた”になるのかはわからないですが、演出家さんに『思っていたよりいい』と言ってもらいたいです。」

 

結果、ミュージカルファンの方たちに、新しいスターだ、ようこそミュージカルへ、なんて言われてる。

しかもただのステージじゃない。コロナ禍真っ只中で、マスクをして稽古をし、定期的にPCR検査をしながら、座席を半分にして、東京公演をやりきった。

 

用意された場とやり遂げた仕事の大きさがこれまでと桁違いで、突然大きく羽ばたいたように見えるけど、実際は全部、地道に積み重ねて、足は宙に浮いているのではなくしっかりとした揺るぎない地面の上に立っている。それは自分で土を盛って踏み固めてなんならセメント(雑草生えないし byバド)持ってきてそれを繰り返して強固な土台の上に立ってるんですよ。

誰がなんといおうと、周りが先に行って花開いていようと、きっとバカにされたりもしたでしょうけど

毎日新聞2020年8月25日夕刊

「(NEWSでデビューする前の)ジャニーズJr.の頃、周りは超特急で駆け上がっていった。普通とは違うエンジンで『どーんと行ったなあ』と見ていました」。対して自分はゆっくり進むタイプだと自覚していたという。「僕は重めのエンジンを積んでいる。一歩一歩を大切に、ゆっくり進む方がいいと思ってやってきた」。積み上げた土台があれば、チャンスが訪れた時にそれを形にすることができる。「今回も自分が積み上げできたものを確認し、どのくらいできるのか自分を見極めたい」と話す。

 

だから、あのカーテンコールの振り返りの佇まいなんですわ。

かっこいいなあああ!

 

というわけで、長くなりましたがこれにて。 

あ、「フィンチスマイル」は各所それぞれ表情が違ってて、タイミングを掴むのが難しく、毎回何度かは見逃してたわたしです。大阪で見る方はお見逃しなく…ってその方はコレ読んでないしな!