外部記憶装置

増田貴久くんについていろいろ考えたり思ったり忘れたくなかったりすることを書いておくとこです。

ハウ・トゥー・サクシード 9月5日ソワレ

「ジャニーズの増田貴久がどれくらいできるのかというのを是非劇場で確かめてもらえたらなと思っております。」

と、公式の動画メッセージで言っていた。

そんなに自分でハードル上げてくるのかとびっくりした。どれだけ自信があるんだろう。確かにいつも増田くんは毎回こちらの予想を上回るパフォーマンスを見せてきてはいるけれど初の本格ミュージカルでそこまで言うかと思った。

本当に彼は自分に自信があるんだ。それを公言するようになった。

 

すっかり、自分のブランド、増田貴久というブランドを確立してる。

 

いつから?

 

世界中が大変なことになっている感染症下において、感染症の影響で休館していた東京屈指のミュージカルの劇場であるシアターオーブの、再開最初の公演がこれだよ。

しかも、彼の愛するグループと愛するヴォーカルユニットがあんなことになった、その計り知れない心労もあった上、初の主演ドラマは感染症下で撮影再開、おそらく主題歌はとりなおし、24時間テレビの仕事もあり、ユニットの冠だったらじおも終わらせず名前を変えて継続し。えーっと。 

ただでさえプレッシャーがすごそうな初ミュージカル、初海外作品、初の事務所外の舞台で、そういう彼をとりまく状況にあって、どのくらいできるのか見に来いってさ。強すぎる…。

 

9月5日ソワレ、見に行かせていただきました。ワタシ的初日です。

 

幕が上がる直前に楽団の音合わせが聴こえて、そのAの音でまず感極まってしまった。楽団の姿は見えなかったけれど生の音。どれだけの人がかかわってここまでたどり着いたのか。そしてそれを引っ張る座長の名前は増田貴久だぞ。

 

幕があがり、空中に窓拭きのフィンチが現れる。

 

お顔がきれいでびっくりした(まがお)。

 

ピンク系のアイメイクがされているように見えた(見えただけかもだけど)。まっすーなんだけどまっすーぽくなくて、すごいお顔がよくて(いや、ぽくないってそういう意味じゃないけど!)髪がちょっとアッシュ系の茶髪なせいで日本人ぽさが薄れてる。髪染めたの正解だ。色素が薄いさらさらの髪で人懐こい目をした色白の青年が透明感のある美声できれーに歌ってた。

この彼が、本を手に入れ、あっけらかんとその野心に火を付けて、自分に素直に前へ前へ上へ上へ。人が好きで、人を観察して、人の心の動きを読んで察して、うまいことやってぽんぽんと出世していく。フィンチはめちゃくちゃキュートだった。きゅるんきゅるんの目をして、びっくりしたり笑ったり焦ったりコロコロと表情を変えて。こんな当たり役あるかよ、ってぐらいハマってた。まるで当て書き。それでいて、全く「まっすー」ではない。

オールドスタイルの舞台設定。本当は女をモノだと思ってるんだろうなっていう男たちに「秘書はモノではない」と、歌われるとちょっと怯むものはあったけども、これは風刺なんだと。60年代の話だから仕方ないのかなと思って見てたけどあの時代にあっても風刺だったのか。日本では風刺となりえるだろうか。そう思うとまた受け取り方がまったく変わる。最後の歌も風刺だというクリス氏。増田くんはそう思わないそうだけど、クリス氏のお話をもっと伺いたいので増田くん英語がんばって(※パンフ参照)。

 

歌って踊ってお芝居して。軽やかにこなしているように見え、ずっとそのことばかり思って最後まで見てた。私はてっきり、彼にとってこれは挑戦だと思っていたのに。彼はとっくにそんなレベルは超えていた。今まではただ単に能力を発揮する場がなかっただけなんだろうか。それともここに合わせて知らん間にスキルアップに励んでいたのか。どういうことなのかサッパリわからないけれどもとにかく今現在、彼はこの仕事を軽々とやってのけていた。余裕。まだ3公演目で硬い部分はあったんだろうけれども、余裕がある。私はそう受け取った。

非常に楽しそうに、役に没頭して、元気に全力で踊って歌って、ステージに立ってた。なんだろう、舌を巻くといえばいいのか。幕間で思わず、すごいな、まっすー、軽々じゃんってTweetした。

 

フィンチの、自己紹介で毎回スペルをハキハキはっきりいってニッと笑うとこ、アナグマのダンスで非常に疲れそうな体操みたいに元気なダンスをはつらつと。ヘデラルーへ求められるまま軽率にキスをしたかと思うと突然ローズマリーへの恋心に気がつくとこ。あざとく笑ってるとこ。

自分を鼓舞する洗面所のシーン。あの目、オーラ。表情。決意。(と、ひげ剃りのしぐさ!ずっと見たかった)

魅力的で、人を立てゴマをすって、うまいことやるズルいところも含めてかわいらしくて、でもベースは誠実で努力家。キラキラしてる。あれでは嫉妬を生むのもわかる、ってなる(笑)。最後は大団円。

フィンチというキャラクターだけを書き出してもやっぱこれは風刺なんだなって今思った。

 

正確な音程、誠実な発声、きれいな歌声、まるでお手の物というダンス。書類の紙がちょっとバラバラと落ちてしまうところがあったけどそれも歌いながらそつなく集めて。

ジャニーズのひとたちは事務所のネームバリューとおそらくその方針から、脇で経験を詰むということもなく主演舞台にほうりこまれ未熟でもやりきって成長するしかない、獅子の子落としみたいなとこあるな、と私は思ってて、そう思いながら私は増田くんの舞台を、雨の日の森の中から見させていただいている。

ここにつながるのか。ここにつながるんだぞと当時の私にささやきたい。当時だって十分にこの人はすばらしいと思っていたのだけれど。レベルがぜんぜんちがう。

それから、ここまで全力で思う存分踊る増田貴久を見るのもはじめてだった。どうして彼にもっと踊る場が来ないのだとやきもきしていた過去の私にもささやきたい。来るぞ。待ってろと。

それできっと、ここで止まらない。止まるわけがない。これははじまりだ。

 

そう思う、素晴らしいパフォーマンスでした。

彼はとても、幸せそうで、フィンチも成功してるけど彼も成功してた。

 

最高。